私はもともと虫がそれほど好きではなかったが、この冬、とうとう昆虫採集にハマってしまった。
 
 それは、ウィンタースポーツ・オサホリである。

ハマって以来、ちょくちょく近場に出向くようになり、なにかこの辺でいいの採れないかな…と研究室で呟いていると、

「世田谷の人とクロカタ採りに行きますが行きますか?」

と今回の採集の発起人である藤澤が声をかけてきた。

いくしかないでしょう。私は快諾した。

クロカタビロオサムシ採集当日の2月某日。採集地は狭山丘陵で、世田谷の人とはその最寄駅で集まることになっていた。

 厚木組は本厚木駅に集合となっていたが参加者の
3年伊藤が遅刻し、藤澤がぼやいていた気がする。

 だが、その藤澤は案内役にも関わらず、電車で女性に見とれており、降りるはずの駅を逃してしまった。 反省の様子もみられず、 極めて遺憾である。

そして、採集地の最寄駅で世田谷組と合流し、藤澤が予め見当をつけてあった採集地へ向かった。

今回の採集のメンバーは、3年伊藤、2年藤澤、世田谷1年川島、駒田、塩崎 、そして私(3年佐竹)である。

移動中、所々掘られており、心配しながら採集地に辿りつくと、各々の装備を振るって崖を崩しだす。すると地面下皮一枚のような 所に越冬窩があり、顔を覗かせている虫がいた。クロカタか?と思ったが、アオオサであった。
 その場所からは結局大量のアオオサがぽろぽろでるのみ、早々に場所を移動した。

次の場所は崖のようなものはなく扁平気味なところであった。そこでもアオオサがぽろぽろ…。ここもか…と思って掘っていると、

なにやらアオオサより小さくて肩の張った虫が…

「これ、クロカタじゃね?」

と私。クロカタを出してしまった。黒い光沢に緑色の縁。渋い。

クロカタがいるとわかったみんなはやる気を取り戻し、力強く掘りだした。

そして伊藤は私が先に採ったのが悔しいのか、声を荒げて採集していた。

すると周りの人も採れたようで、順調に数を稼いでいく。

が、私は一発目で運を使い果たしたのか、その後追加することができず、どんどん掘りだしている藤澤にどう聞いてみると、

「センスですよ」

と一蹴。どうやら彼には天性のセンスがあるようで凡々な私には遠い位置におられました。

そのうちクロカタラッシュも一段落つき、移動間際まで粘って掘っていた私だが、最後にクロカタをクラッシュしてしまい、
 がっかりしながら移動。

次の場所も同じようなところで、全員でクロカタとアオオサを数頭追加。やはりさきほどと似たような環境だとクロカタは入りやす そうである。それほど広い場所でもなかったので6人ですぐに荒らし終えた。

そして移動するも土の環境がかわったせいかクロカタが途絶え、ついにはアオオサすらもまばら。
 ここで一同は昼食をとることにした。

昼食時に話し合った結果、引き返して最初にクロカタがとれたところまで戻ることにした。しかし、一頭も採ることができず、移動。

思い切って場所を変えいい場所を探すが、先行者に荒らされたような跡が残るばかり。

なにも採れないままにぶらぶら歩き、ちょっとした坂道を見つけ落ちていたキンカメの前胸を眺めながら無気力に掘る。

すると久しく見なかった越冬窩が!指でほじくるとクロカタが現れた。

その後掘り続けてもなにも採ることができず、移動。

いい感じの場所を見つけるものの、今までクロカタが採れた環境と違いさっぱり採れずアオオサが数頭採れるくらい。

ついにはセンスのある藤澤も飽きたのか、彼の愛刀である「名刀ちくわ」を取り出し、手近の枝を切りだした。それなりに高価らし く、確かな切れ味だった。

アオマダラタマムシの入っている枝を探していたらしい。

このあたりでいい時間になり、やめて帰ることとなった。

この日の収穫はクロカタ21頭、アオオサ無数であった。

伊藤は最終的な数で私に負けたのが悔しいのかまた声を荒げていた。

クロカタは、夏は簡単に採集できるものの、越冬個体はなかなかにとりづらいと聞いていたため、はじめはどうなるものかと思っていたのだが、ハイセンス藤澤さんのおかげでみなクロカタを得ることができた。ありがとうございます。

またこのような機会があれば参加したいと思う。


  


                                                                                               3年 佐竹瑞樹




クロカタビロオサムシ採集記